別れもあれば、新しい出会いもある。
そう、今日は新入生の入学式。皆、新しい出会いに新入生たちだけでなく、先生たちも心をときめかせていた。
が、一人だけ浮かない顔をしているものもいた。翠星石である。
実は、彼女はかなりの人見知りのため、この時期は毎回憂鬱になるのだ。
しかも入学式では毎年、各教科担当ごとに挨拶もしなければいけない。
言いようの無い不安が広がる中、入学式が始まった。

翠星石「お、落ち着くですよ…そう、あれを全部カボチャだと思えば…カボチャ、カボチャ…ぎゃあ!蒼星石!カボチャがこっち睨んだですよ!?」

蒼星石「…何をやってるんだ、君は。」

翠星石「大体、何で私が挨拶しなきゃならねぇんですか!?チビ苺、おめーも家庭科担当なんだから、おめーがやりやがれですぅ!」

雛苺「そういう問題じゃなくて、教師全員挨拶しなきゃいけないのよ!?翠星石のすかぽんたん」


そんなやり取りの中、ついに司会の教頭ラプラスによって翠星石の名が呼ばれる。
ロボットのような動作で壇上のマイクの下に向かい、お約束のようなハウリングを起こす翠星石。
そんな姿を見て、中には笑い出す新入生もいた。
それを目ざとく発見する翠星石。

翠星石「おい!そこのチビ人間!!おめー、家庭科なめてるとえらい目にあうですよ!?大体、家庭科でどんなことやるか、知ってて入学してきやがったですか!?」

新入生A「…え?中学でやることと大体一緒じゃないんですか!?」

翠星石「ププッ!これだからあさはかなチビチビは…そんなんだったら、いちいち高校でやらないですよ。もっと危険で高度なことをやるに決まってるです。」

新入生A「た、例えば?」

翠星石「例えば、動物のはらわた(注:魚のこと)をえぐりだしたりとかするですぅ。でも、うちの学校の包丁切れ味わりぃから、中には力をこめすぎて、ザックリ指を切り落としちゃうやつも中にはいるです。」


…もちろん、そんな事件はこれまでに一度も無い。が、何も知らない新入生には動揺が広がる。
お構いなしに翠星石は続ける。


翠星石「まー、切り落としただけならいいですが、今まで臓物を切ってたやつだから、ばい菌でいっぱいですぅ。例えわずかな傷でも、すぐに消毒しないと…」

新入生A「し、消毒しないと…?」

翠星石「ウジァアア!!!!!!!」

新入生一同「キャー!!!!!!!」

翠星石「…と、たちまち体中に広がっちまうですぅ♪せいぜい気をつけるですよチビチビ☆ミ」


この入学式のあと、翠星石はたいした緊張もなく今年の新入生に授業をし、新入生も真面目に授業に取り組むようになったと言う。


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